あなたがご存知でない場合のためにお伝えすると、脚本からキャスティングまで、映画の製作となるとかなり多くの計画がなされます。しかし予算が潤沢にあっても、監督や脚本家が望んだ通りに物事が進むという保証はありません。人生もそうですが、私たちは好きなように計画を立てられますが、時に世界は、別のことを用意し待ち構えていることがあるのです。しかし時に、間違い、NGシーン、アドリブや即興が素晴らしく、特定のシーンを際立たせることもあります。時々ありますが、私たちが計画が台無しになったと考えた時に、世界はそれより良いものを用意してくれているのです。今からご紹介するのは、見事な「間違い」で最終的に映画をより良いものにし、最高の映画シーンのいくつかとして、これからも歴史に残るであろうものたちです。
ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還、飛んでいく旗
では、ファンお気に入りのNGシーンから始めましょう。ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還を見たことがあるなら、ローハンが敗北する場面での旗に気付いたかもしれません。超ドラマチックな一方、完全な事故でもあります。事故が起こらないなんて確証は持てませんよ。野外での撮影で、風を完全にコントロールできる人なんていないでしょうから。
ミランダ・オットーにより演じられたエオウィンは、遠くを見つめながら演技に集中しています。飛んでいく旗は、ローハンが真に崩壊する寸前であるということを暗に示し、このシーンを上手くまとめました。「カット」と言わなかった、監督であるピーター・ジャクソンに敬意を。心配はいりませんよ、後にロード・オブ・ザ・リング/二つの塔の、有名なシーンにも触れますから。私たちが言っていることが何か、おわかりになることでしょう。